|
自由党の武山百合子でございます。
私は自由党を代表して、ただ今提案されました森内閣不信任決議案について賛成の討論を行います。
就任以来八ヵ月、私はこれまでの歴代総理大臣で、これだけ総理大臣としての資質を欠いた軽率な言動を数限りなく繰り返してきた総理大臣を知りません。
賛成する第一の理由として、森内閣誕生の経緯そのものに重大な問題があったことを指摘します。 小渕前総理が倒れられて、青木官房長官が記者会見をされた直後、自民党の有力者の一部では、すでに後継総理を決めていたのです。
緊急に閣議を開くことなく、医師団の公式発表もなく小渕前総理を辞任させ、談合によって後継総裁を決め、民主国家とは程遠い総理大臣を劇的に選びました。総理が倒れたという、国家最大の非常事態を非常事態とも認識せず、頭にあるのは日本の国・日本国民のことではなく自分たちの権力維持だけという、国家を私視した派閥政治以前の古い体質の現れが森政権誕生の過程なのです。
いわゆる五人組といわれる人たちによる談合総理が誕生してから、この国はおかしくなったのです。また、連立政権というものは、その前提として、具体的な重要課題を解決する政策合意がなければなりません。しかるに森連立政権は、具体的に何をするのかという政策合意の全くないままにつくられた政権であり、これは連立ではなく、理想も夢も希望もない数合わせ政権以外の何ものでもないのです。
第二に、九州沖縄サミットの失敗です。
九州沖縄サミットでの森内閣の対応は、日本の国益を大きく損ない、世界にとって、大切な機会をも、無にしました。
第二次世界大戦最後の激戦地である沖縄を選んだ、小渕前総理が、沖縄サミットを、二十世紀から二十一世紀への節目となる年に戦後五十年の経過を反省し、二十一世紀を展望する「平和サミット」にしたいと準備しました。その、時と舞台を整えたにもかかわらず、平和に対する歴史感覚を持った深い政治的討議を、議長国としてリードできなかった責任は大きいと言わなければなりません。
平和と安定に向けての協調と将来像を描くこともできず、沖縄米軍基地問題についての進展もなく、北朝鮮問題の重要性を各国首脳に理解させることもできず、中国、台湾問題は議題にせず、核兵器廃絶に向けた議論も行われることなく、世界貿易機関の次期貿易交渉についても先送り、途上国の債務救済についても具体的な進展なし、遺伝子組み換え食品の安全性についても事実上先送りでありました。
それは、森内閣自身に明確な外交・安全保障政策の理念・方針が無いからに他なりません。 政治が主導すべきサミットを、省庁の作成した原稿を棒読みするだけの、パフォーマンスサミットにしてしまった森総理大臣の責任は重大です。
第三に、森内閣は経済政策についても無為無策であったことです。
景気の回復こそが国民の強い願いであるにもかかわらず、わが国経済を混迷の渕に陥れているのが森内閣です。
構造改革の根本である行財政改革を断行しようともせず、その本質である規制の撤廃も手付かずであります。経済的規制の撤廃や行財政改革を行うことによってはじめて、お役所に縛られることのない、民間の自由な発想と努力で日本経済を支え、自律経済成長を歩む道を進むことができるのです。それにもかかわらず、森内閣はその発想を全く持ち合わせておりません。
このたび提案された補正予算においても然りであります。歳出面では「IT」と各省こぞって名づけながら、合いも変わらず従来通りの公共事業の積み増しであり、公共事業の見直しに逆行するものです。
歳入面でも決算剰余金の繰入れをやめたうえに、短期国債を発行するなど、国債管理政策にも逆行した予算を提案しているのです。
第四に森総理の発言が余りにも軽率であることです。
かつて、細川護熙元総理大臣が辞任表明をされた時に、当時の森喜朗自民党幹事長は、「総理大臣の発言は重い。軽率な発言は慎まなければならない。」と発言しました。私はその言葉を今あらためて、森総理大臣に対してお返ししなければなりません。五月十五日には「日本は天皇を中心にしている神の国だ」と、わが国の象徴天皇制を揺るがしかねない発言をされました。
また衆議院選挙中には、「無党派は関心がないといって寝てしまってくれればそれでいい」と、民主主義の何たるかを全く理解されていないとしか言いようのない言葉を使われました。九月二十八日の衆議院予算委員会では、「沖縄普天間飛行場の使用期限問題が
日米合意として盛り込まれている」と発言し、慌てて取り消されましたが、このような認識で日米首脳会談に臨んでいたのかと唖然とさせられたのでありました。
また、小渕前総理の緊急入院を受けて、後継の総裁に就任した経緯について国会で聞かれた時には、「私が私生児のように生まれたとおっしゃるが、不愉快だ」と述べられ、嫡出でない方々の人権を、ないがしろにするかのような発言をなさいました。この他にも、ITをICと間違えて発言したり、中川官房長官が辞任したその翌日に早慶戦をはしゃいで観戦したり、月刊誌には「夜毎高級店でグルメ三昧、これで日本は大丈夫か。」と書かれるなど、国民に対する責任を全く感じていません。総理の威信は完全に失墜してしまっております。
中でも問題なのは、北朝鮮問題に関する総理の言動とその対応であります。この問題は、国家の主権と国民の生命にかかわる問題であり、見過ごすことはできません。通常の総理大臣であれば、失態の大きさに気付いて、自ら身を引くであろう重大な事態に、国会答弁を聞いても、ご本人は全くお気づきになっていないことが問題なのです。総理は日英首脳会談で「北朝鮮側の立場もあり、メンツもあるから、拉致をしたということを認めていないわけだから、行方不明者としての考え方があるんじゃないか、例えば北京、バンコク、よその国にいたということで、そっと移していただいて、そこにいたということに出来ないだろうか、中山さんは正式にそういう話をした。」とブレア首相にお述べになったそうであります。
結論の出ていない日本と他国の交渉事を外国の首脳にしたとすれば、その国の首脳は、自分の国の大事な話もどこでされるかわからない、日本の総理には大事な問題は話せないと思うでしょう。
今回その話がマスコミに報じられたことで、世界中の指導者が、日本の総理には大事な問題は話せないと思ったのです。結果としてこれが日本の国益をどれだけ損ねたのか、それすらも森総理は気付いていないのです。この問題はそこに核心があるのではありません。
そもそも拉致問題は、国家の主権の侵害として北朝鮮に明確にするよう求めている問題であります。 これを曖昧にするような解決策を軽々と口にするような感覚しか総理は持ち合わせていない、この点に最大の問題があるのです。
国家の何たるかを分かることのできない総理大臣を持つくらい不幸な国民はありません。 この点をもってしても森内閣は不信任に値すると言わなければなりません。
第五に、一国の総理大臣の「資質」とは、自らのビジョンを明確にし、国民を導いていくことのできる指導者であることに他なりません。
わが党の小沢一郎党首の国会質問で、森総理大臣にその資質のないことがはっきりと明らかになったことです。
総理は、所信表明演説で「時代に適合しなくなったシステムを改める」と述べられましたが、小沢党首が本年四月十九日のクエスチョンタイム、並びに四月二十四日の衆議院予算委員会で、どのようなシステムをどう改めようとしているのか質問したのに対して、総理は「内閣の責任を負う立場の中で、こういうところが問題点で、こうしろということは控えなければならない」と答えられました。
自分の意見を言うことのできない総理、全てを国会やお役人の議論に任せる総理大臣では、日本のリーダーとしての資格はありません。そして、総理ご本人ばかりでなく、久世金融再生委員長や中川官房長官など、適格性に問題を欠いた閣僚を任命するなど、森内閣全体がすでに国民から信用されていないのです。
以上、森内閣が不信任に値するという理由を述べてまいりましたが、今では、世論調査で、多いところで八二%の国民が森内閣を支持しないと明確にしております。これまで続いてきた、談合体質、事勿れ体質、問題先送り体質、政治家が責任をもって物事を決めるのではなく、すべてをお役所任せにする体質そのものを一新しなければなりません。それは自民党的政治体質そのものを改めることに他ならないのです。
森総理大臣の退陣がその第一歩です。
最後に、森総理大臣に申し上げます。
あなたの好きなラグビーに喩えるならば、あなたは国政という重いボールを持って走り出しました。しかし、ゴールがどこにあるのかわからずやみくもに走ったあげく、あちらこちらで反則を繰り返し、ついには味方からもタックルされるという憂き目にあっているのであります。
さあもうノーサイドです。 直ちに衆議院を解散して総選挙を断行し、新しい政権の選択を国民の手に委ねるべきです。 以上申し述べまして、私の賛成討論を終わります。 |